□投稿者/ あゆむ 一応書き込む人(33回) [ID:as1f11ce]
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親記事 引用 |
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「やめっ・・・ぁっ・・あぁんっ!!!助けてっ!!シンラン!!!!やめろっ・・!!」
雷鳴が鳴り響いた。
喘ぎながら少女は助けを求めた。 愛しい人の名前は虚空に消えていく。
ベットの上にはさらさとと金色の長い髪を垂らした少女が息を切らしてシーツを手繰り寄せている。 少女から離れた男はすぐに上着を羽織った。
「はぁっ・・・はぁっ・・・。」
息を切らして話す。
「この子は私の子供だ。お前の子じゃない!」 「可愛くない女だな。」
両者ともぴくりとも動かずに相手を睨みつける。
「お前への憎しみを十月十日歌ってやろう。腹の子はお前をほろぼしてくれるぞ?」 「ちっ・・・・。」 舌打ちをして紅い瞳を持った男はより少女を睨んだ。 「私の中にはシンランがいる。影が光を掌握するんだ・・・。くく。傑作だな。」 「黙れ!!!」 ダンッっと、壁を握りこぶしで叩く。
「知っているんだぞ、ランファ。私を殺さないのはシンランに・・・」 と言いかけたところで男は少女をまた押し倒した。
「そののど掻っ切るぞ?」 「ふっ・・・・。」 と、不適にも笑った少女の首にナイフが刺されることはなかった。 |
2007/10/19(Fri) 12:52:22 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ 一応書き込む人(34回)- [ID:as1f11ce]
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Res1 引用 |
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結局タイトルは決まらないんですけどなんかこんなんでいいかな的な感じで決めました。カタカナとか英語がよかったんですけどなんか舞台が中国なんで無理かな・・・。と。
「鮮血の騎士狼」
第2話 愛しい人に捧げる気持ちを
お楽しみに
第1話が見たい人は「あゆむが描いてる漫画を小説化してみた!」をみてください。
シリアスっぽいギャグの話です。 ギャグっぽいシリアスかな・・・。 |
2007/10/19(Fri) 12:57:33 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ 一応書き込む人(36回)- [ID:as1f11ce]
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Res2 引用 |
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ブ〜ン
スヤスヤと寝息を立てて眠る金髪の少年の頬に一匹の蚊がとまった。 それを見逃すわけがなかった。
「どりゃああああああああ!!!!!!」
「ぎゃあああああああああ!!!!!!」
金髪の少年、レオンは椅子から転げ落ちた。
「いったたたた・・。何するんですか!!!!シンランさん!!痛いですよ!!!急に!!!」 シンランと呼ばれた茶色い髪に金色の瞳を持つ男は握りこぶしを開いてこう言った。 「お前の顔に蚊が止まってたからさ。ほれ。つぶしたぞ!」 「人の頬に止まった虫をグーでつぶさないでください!殴ってるじゃないですか!!明らかに!!!」 「つい。」 「つい?」
第2話 愛しい人に捧げる気持ちを
「これじゃ安心して眠れないですよ。昨日の今日で疲れてるのに・・。」 レオンが所属しているのは王室直属の特務1課。普通の課ではできない特別な任務を隠密的に行う課、であった。昨日というのはレオンの初任務だったのだ。 上海で行われる大規模なデモを狙ったテロを阻止する、というようなもので貴族育ちのレオンにはすこしハードすぎたのだった。 「悪かったって。」 そう言ってウィンクをした年上の先輩、シンランを見ると 「しょうがないですねぇ。」 と許してしまうのがレオンだった。
ブ〜ン
また一匹。眠りに入ったレオンの顔に止まった。 だがそれを見逃すわけがなかった。
長い黒髪を垂らした東洋人風の女性はおもいっきり握りこぶしを振り上げた、が 何かに気付くとそちらへ行ってしまった。
シュ――――――――――・・・・
「んっ・・。」 顔がなんだか湿っぽい。すぐに起きたレオンの目の前にはさきほどの東洋人風の女性が手に缶を握っていた。 「おい。・・・何した???」 眼が物を言う。怒っていた。レオンは怒っていた。 「ぃゃ・・・。お前の顔に虫がとまって」 いたから、と言おうとしたところで遮られた 「殺虫剤を?」 ひきつった笑いを浮かべて睨んでいる。 「人の顔に?」 こくりと頷いた無表情の無神経の女性を横目に、レオンはすぐに顔を洗いに行った。 後ろからついてきた女性は相変わらずの無表情でごしごしと顔を洗うレオンを見つめていた。振り返ってものすごい形相で女を睨んだレオンの頭にポンと手を乗せたシンランが言った 「まぁまぁ、許してやれよレオン。あれも不器用なゆきめっちのやさしさなんだぜぃ。」 「ゆきめさんの・・・。」 女性、ゆきめは表情ひとつ変えずに頷いた。 「優しさであります。」 (なんかむかつく・・・!!!) と、心で思ったものの、無表情、無関心、無神経のゆきめが起した行動が少し嬉しかったりもした。 (あのゆきめさんが・・・やっぱりいい人なのかも。これもあの人なりのやさしさ。)
ブ〜ン
目の前を蚊がよぎった
ごそり、と着物のそでから拳銃を取り出したゆきめはすかさず発砲する。 パンッ!パンッ!!! 「動くな!」
「ひいいいいい!!!」 ぎょっとした表情で 「撃ってから言わないでください!!!」 そう叫んだ。
不器用な彼女なりの優しさもある。
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2007/10/27(Sat) 21:32:42 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ 結 かなり来る人(60回)- [ID:Tb47zTSi]
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Res3 引用 |
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こんばんは。 >あゆむさん すっごく面白かったです^^ レオン可哀相だなとは思いましたが、それはみんなの優しさなんですよね♪ ギャクとても面白かったですよ! 思わず笑ってしまいました!! こんな不器用な優しさのお話私は大好きです! それでは、更新頑張ってくださいね♪
それと、ここに感想買いてもよかったでしょうか?? もしいけないのなら削除いたしますんで、また言ってくださいね。では、失礼しました〜 |
2007/10/28(Sun) 10:26:05 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(40回)- [ID:as1f11ce]
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Res4 引用 |
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いぇいぇ〜w
読んでいただけて、さらに感想までいただけて幸せだ☆w ここでもいいし、一応感想掲示板つくったんでそっちでもどこでも感想がいただけるならいいですww
では、また更新しにきます。 |
2007/10/29(Mon) 19:37:56 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(47回)- [ID:as1f11ce]
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Res5 引用 |
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「じゃっじゃじゃーん!!皆☆お疲れ様!」 といって入ってきたのは、レオンの愉快な上司のルイズ・ブロワだった。 「レオン君も初仕事お疲れ様☆どうだったかな?初仕事の感想は??」 爽やかな笑みを常に称えている年齢の割に若く見える感情のつかめない上司の問いにレオンは答える。 「はじめてだったんで、ちょっと気疲れしちゃいました。へへっ。でも、よかったです。」 少し恥ずかしそうに答えた。 「そっかー☆よかった〜。で、ここが大体だんなことをするところかわかったと思うけどね、僕らは大体だけど役割分担してるんだよ。もちろん自分の能力を生かした分野を専攻して。」 そこから説明がシンランにうつった。 「そぉそぉ、俺とかゆきめっちは現場に向かって、犯人を捕まえたり始末したりだな。」 ゆきめは無言でうなずく。 「僕は情報収集なんかをしているんだぁ。近々元FBI捜査官だった凄腕のハッカーが仕事から帰ってくるんだけどね、大体は彼女と二人で行動してるよ。」 「私とシンランもいつもは二人で行動しているのであります。」 続けてルイズとゆきめも言った。 「で、僕は・・・」 「そうだね、君にはその記憶能力を生かしてもらって残したくない書類なんかを記憶してもらおうかな。ぅん、どっちかっていうと僕と同じ情報処理の方を頼みたいな。君にはまだ実践は無理だろうし。ただ護身くらいはできるようになってもらわないといざってとき困るからね。」 「はい!」 と、レオンは明るく答えた。 「はいっ。じゃぁ皆それぞれ仕事にかかるよ〜。はぃっ、ゆきめくん。新しい任務。元韓国領の大使館まで親書を取りにいってきて。」 「了解であります。」 「っちょ、っちょっとまて!!ルイズ!!俺は!?俺もゆきめっちと一緒じゃないの!?」 「ランファから君を呼ぶように伝言を預かっているんだ。」
一瞬、金色の大きな瞳がよりいっそう見開かれた。 唇が、かすかに震えていた。 驚愕
「どうかしたんですか?シンランさん?」 レオンが少し不安そうにそう尋ねた。 すぐにいつもの表情に戻ったシンランは取り繕った笑顔でかえす。 「いゃ・・・なんでも・・・。」 すこし悟ったようにゆきめはなにも言わずに出て行った。 いつもより含みのある笑顔でルイズは言う。 「いっておいで。シンラン。」 「ぁ・・・、あぁ。」 少し影を残した表情で部屋を出て行った。
「シンランさん、どうしたんですか?なんか変でしたよ。ランファって誰の事なんですか?響きは中国人っぽいですよね。」 「ランファはね・・・、国王陛下の本名なんだよ。」 爽やかな笑顔に曇りを残して、ルイズはそう答えた。 「シンランさんが!?すごいじゃないですか!!陛下にじきじきに呼ばれるなんて!!見直しちゃいましたよ!!」 何も知らない少年は笑顔で言った。 「さ、僕等も作業にはいろうか。」 「はいっ!」
何も知らない少年は、まだ笑顔のままで。
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2007/11/02(Fri) 20:21:32 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(48回)- [ID:as1f11ce]
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Res6 引用 |
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レオンは母親の顔も父親の顔も記憶にあるうちにはなかった。 なぜなら母親はレオンを生んですぐに亡くなってしまったらしいからだった。 もともとフェンリート家に男子ができなかったため、母親の夫は婿入りだったそうだ。母親がなくなったことで父親は逃げるようにフェンリート家から逃げた。 そんな話をレオンは聞かされて育っていた。本当かどうかは確かめようがないからわからない。 父親の顔はまったく知らなかったが、母親の顔だけは写真が残されていたため知っている。 自分と同じ金髪。自分と同じ瞳のエメラルド。写真の中の母親はとても美しい女性だった。ただ、極端に幼かった。背が、小さい。本当に成人しているのだろうか?と思うほどに若かった。ただ、自分の背が伸び悩んでいる事を考えると、きっととても小さくて可愛らしい女性だったのだろうと思うしかなかった。 生まれたばかりの自分らしき赤ん坊を抱いて笑っている写真。となりにいるはずの父親の個所ははさみで綺麗に切り取られていた。 しかし、覚えている。 母親の髪とは対照的な黒っぽい茶色い髪がすこしだけ、切り取られた写真からわずかに残っていたのだ。
レオンは久しぶりに夢を見ていた。 金髪の長い髪を垂らした女性は後ろを向いてたっている。 幸せな空間の中に、ただ一人で、空虚に。 「母様!!」 そう、呼んでいた。 振り向いた女性は笑顔でこちらに走ってくる。
走り出す。
抱き合って笑った。
あぁ母様のぬくもり・・・。これだけは思い出せないんだ・・・。
そぅして、夢から覚める。 「おはよう。レオン君。」 ルイズだった。 「あれだけの量を記憶したんだからそれは疲れるよね、ごめんね、わからなかったんだ。君、あの場で倒れたんだよ?」 「あっ・・・。そうだ。すみません。」 「ううん。君が無事ならいい。もう少し休んでいいて。今ミルクティーを持ってくるから。」
そぅ、ほかのどんな事でも覚えていられるのに、母親のぬくもりだけは思い出せなかった。悔しかった。これほどの能力を持ちながらにして、自分の両親を何も知らないことが。 「ありがとうございます。」
その次の日、ゆきめが帰って来た。 しかしシンランが戻ってくる気配はなかった。
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2007/11/02(Fri) 20:42:01 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(49回)- [ID:as1f11ce]
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Res7 引用 |
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大きな広間に、ぽつんと置いてある玉座。 この小さな椅子を勝ち取るためにどれだけの血が流されたのだろうか? 赤色の絨毯さえも返り血のように不気味だった。 音ひとつない空間に一人、椅子に座っていた人物が気配を察知するとすぐに立ち上がった。 「待っていたよ。待ちくたびれてしまうところだった。」 無視する。 同じ髪の色だった。知っている。ずっと昔から。 「クリスは?」 シンランはそぅ男に尋ねた。 「シンラン、僕の名前を呼んで。抱きしめて。」 男はふざけた仮面をはずした。 シンランと同じ髪、同じ瞳。しかし色だけは違かった。
紅色。
玉座への血塗られた階段を上がり、抱きしめて呼ぶ。 「ランファ。会いたかった。」 自分と同じ時を歩んできたもぅ一人の自分に。 ランファは少しの間シンランを離そうとしなかった。 「クリスなら元気だよ。正気じゃないけどね。」 残酷な笑み。 紅い瞳がうっすらと笑った。 「会わせないよ。あんな女になんか。今夜は帰さない。シンラン。」 淡々とそう言った。 「めずらしいじゃないか、今日は僕に反抗しないんだね。たまには僕のご機嫌をとろうって?」 「そうだ。」 睨んだ。最後の抵抗。小さな反抗。支配者に対して。
本当ハ知ッテイタンダ 自分ノ全テガコノ男二支配サレテイタコトクライ
瞬間、シンランは何の抵抗も無しに銃で撃たれた。 強力な睡眠剤のようなもの。体が崩れる。その場に倒れこんだ。 意識がだんだん薄れていく。
「さぁ、たっぷりと絶望を教えてあげる。再教育の時間だよ、シンラン。」
狭くなっていく視界の中で、 紅い瞳が笑った。
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2007/11/02(Fri) 21:01:41 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(54回)- [ID:as1f11ce]
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Res8 引用 |
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第2話完結!!!
ゆきめの不器用な優しさ。 レオンの母のやさしい愛情。 ランファの歪んだ愛情。
など、みんなそれぞれ思いの伝え方は違うってことが伝えたかったんです。 はぃ。
第3話予告編
ついに登場特務1課新メンバー 世紀末最大のトリックスター っていえば聞こえはいいけど 泥棒というね☆
ミレイユ・フォッセー
に好ご期待wwww |
2007/11/03(Sat) 17:38:35 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(55回)- [ID:as1f11ce]
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Res9 引用 |
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その女は美しいブロンドの髪をまるでわざと揺らすかのように歩いていた。 きりっとした眉、大きく開いた水色の瞳。 まだ春だというのにもかかわらず女はキャミソールにミニスカートというスタイルで歩いていた。 すれ違う人皆が振り返るほどの美人であった。スタイルのよさがさらにそれを際立たせている。 振り返る男にはまるで最初から相手にしてないとでも言うようにフッと笑って返す。 ものすごい人ごみ。 ここは朝の通勤ラッシュ時の駅。 女は押しつぶされてしまうような電車の中へわざと入っていった・・・気がする。 そして、一駅で降りた。 女の周りにいた男性はすこし惜しかったような顔をしたが女は振り返る気配すらない。
女は朝の地下鉄へ車内にいた男性の財布とともに消えていった。
第3話 スペインの女泥棒
「今度は何の任務ですか?」 カフェオレを飲みながらレオンはルイズに尋ねた。 「いゃ〜。とある任務でミレイユ君をスペインに派遣したんだが、あの国は彼女の母国だからね。帰ってこないんだよ。何度もメールを送ったんだけどね。だから、三人でミレイユ君を連れ戻してきて。僕は彼女に嫌われてるからね。いけないんだよ。(汗)」 シンランとゆきめはその言葉を聞くとカフェオレを飲みながら固まった。 「私たちをあんな恐ろしい国に・・・!!!!課長!?何を考えているでありますか!!?」 「そうだぜぃ!!!ルイズ!!スペインだけはあんまりだ!!!」 「どうしてお二人ともそんなにスペインを嫌うんですか?僕はいいところだと思いますよ?」 レオンのいうとおり、スペインとはとても情熱的でたいへん面白い国である。 ゴオオオオッと後ろに効果音っぽいものを立てながら二人はレオンのほうを向いた。 「お前はわかってないんだ!!!あの国の連中にしてみれば俺ら東洋人の顔した奴は餌くらいにしか見られてない!!!」 「そうであります!!前回行ったときは私も財布を掏られたのであります!!帰りの電車に乗れないつらさが貴様にはわからないのであります!!!」 「うわっ・・・・。そんな・・・・。」 (ゆきめさんにもあるんだ・・・。そんなことが・・・。) 少し想像できなかったが、無言でなんかすごく怒っていそうなイメージがある。 「まぁまぁ、行ってきてよ。シンラン。ゆきめ君。」
「秘密をばらされたくなかったらね☆」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 ↑ レオン。 「行きます!」 「行かせていただきます!」 二人は立ち上がって答える。 「さっ、行こうか。レオン。」 といってシンランはカフェオレを飲んでいたレオンの首ねっこをワイシャツごと引っ張っていってしまった。
三人は旧スペイン領行きの飛行機に乗った。
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2007/11/03(Sat) 18:13:21 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(57回)- [ID:as1f11ce]
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Res10 引用 |
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スペインについたのはいいが果たしていったいどこから探したらいいのやら・・・。
とりあえず、ミレイユの地元までなんとかバスを乗り継いでいった三人は現地でわかれて探す事にした。というより、商店街ばかりのミレイユの地元を嫌がって勝手に二人が猛烈ダッシュして消えただけである。 「僕ミレイユさんの顔知らないのに・・・。わかれたら意味無いじゃん・・・。」 とほほ・・・という音がでる感じでがっくりとうなだれたレオンはとりあえず近くの商店街に観光がてらでてみる事にした。 「そういえば、スペインはスリで有名だからな。シンランさん達でさえあったんだから気をつけないとな。」 レオンはもともと財布の中には大金をいれない主義なので、盗まれてたいそう困る事はないが、ゆきめのいうとおり返りの電車賃がなくなるのは悲劇である。 たしかに商店街なだけあって、活気があった。が、ストリートチルドレンのような子供もたくさん転がっていた。 「・・・。」 感傷にひたっていたレオンに、ドッ、っと何かが背中にあたった。 振り返るとそこにはすこしくせのある金髪のブロンドを垂らした女が立っていた。 「ごめんなさぃね、ぼうや。アン?ここらでは見ない顔ね。」 「こちらこそ、ちゃんと見ていなかったもので・・・すみません。////今日初めて来たもので・・・////」 正直目のやり場に困っていた。女は美人なうえにものすごくスタイルもいいし、胸も大きい。背の小さいレオンのちょうど顔のあたりに胸があるわけだ。 「ふぅ〜ん。お姉さんが案内してあげっよっか?ふふん。」 ものすごく魅力的な女性に誘われている、しかし真面目に生きてきたレオンには少し刺激が強すぎた。 「あっ、あの、僕人を探してるんで・・!!」 自分が断られた事に少し驚きながら 「そっか。まぁ、見つかるといいわね♪」 と言ってすぐに行ってしまった。 「・・・・。もったいなかったなぁ・・・。すごく綺麗な人だった・・・。はぁ。」 「おーぃ坊主!!!トマト食ってかないかい!?おいしいぜぇ!!無農薬で。」 と、声をかけてきたのはすぐ横の野菜売り場のおじさんだった。 「なんで今の話断ったんでぃ?」 「なんででしょうね・・・。それひとつください。」 「へぃよ!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
財布がない。
ズボンの後ろポケットに入れておいた小銭入れがなくなっている。
はっ、と気付く。 「今の女!?スリ!!!?」 「はっはっは〜。坊主。あの女はこのへんじゃ有名な天才スリだぜ?まぁ気づかなくて当然だがな〜。はっはっは。」 といって、笑うおじさん。 「わかってたんですか!?言ってくださいよ!!もぅっ!!」 といって、レオンは女が引き返した方向に全速力で走りぬける。 「誰かー!!!泥棒ぉおおおお!!!!!!」 っといって走っているのにもかかわらず、商店街の人々はみんなクスクス笑うばかりである。 そこでレオンの頭の中にひとつの思考がよぎった。 (まさか・・・!!この商店街の人みんなで結託してスリをしている・・・!?) 驚愕。シンランやゆきめの言っていた事がようやく理解できた気がした。
すこし走ったところに女は歩いていた。 レオンの尾行大作戦が始まった!!!!
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2007/11/03(Sat) 20:48:31 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(58回)- [ID:as1f11ce]
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Res11 引用 |
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だがしかし、レオンの尾行大作戦は意外な方向に幕を閉じた。 女は商店街のパン屋でフランスパンを6本買った。 そして細い路地裏に曲がった。 奥に長い、細く狭い道をぬけると階段があった。螺旋階段のような構造をしたそれを抜けた先にいた。
何人ものストリートチルドレン達が女の周りを取り囲んでさっきまでの死んだ目つきを一転させ、笑っていた。
「ミレイユおねえちゃん!!お帰り!!」
皆彼女をミレイユと呼んでいた。 『帰ってこないんだよ。』 ルイズの言葉がよぎった。 偶然の一致だろうか・・・。自分の探しているミレイユという女性が今ここにいるスリだなんて。 「ほら、パンだよ。みんなでちゃんとわけられる?」 さっきまでのきりっとした表情はなくなっていた。 無防備な笑顔。 ストリートチルドレンは本当に幼く、誰かに抱きかかえてもらっている子から、中学生くらい、つまりレオンとそう変わらない子までいた。 (自分と同じくらいの子までいるんだ・・・。) 本当に胸が痛かった。 「じゃぁ私はまた仕事だから。」 そう振り返った彼女に声をかけた少女がいた。 たぶんこの中で一番年上の少女。レオンと変わらない背丈。フランスパンをすべてうけとっているところから、きっとこの中でリーダー的、姉的な存在なんだろう。 「ミレイユ・・・。その・・・。ごめ・・」 全て言い終わる前にミレイユが返した。 「いいのよ。」 最後に笑った彼女の笑顔の裏を知っているのは多分このときはその少女だけだった。 「ミレイユばいばーぃ!!」 「また遊びにこいよ!!」 「はぃはい。すぐ来るから。」 といって、階段を下りて来た。
目があう。
「あんた・・・、さっきの・・・。」 「すみません、掏られた事に気付いてついてきました・・・。」 「そ。返すわ。」 正直、素直に受け取れそうになかった。 「ありがとぅ、ございます・・・。」 「何くらい顔してんのよ?戻ってきたんだから喜びなさいよ。あんなのただのボランティアなんだから。あんたは気にしなくていいの。」 「でも・・、私利私欲のために使わないなんて、感動しましたよ。その・・・違法かもしれませんけど・・・。」 うつむいたまま、そう言った。 「ありがと。じゃ、これから仕事だから。今度こそついてくんじゃないわよ?」 なんだかこの人が本当に自分の探しているミレイユという人物なのかはわからなかったが、もしそうなら本当につれもどしていいのかわからなかった。 「あの・・・。その・・・。名前・・・。教えてください。」 少しびっくりした顔をしたが彼女は言った。 「ミレイユよ。ミレイユ・フォッセー。あんたは?」 「レオンです。レオン・フェンリート・・・。」 「そ、じゃあね。」 ミレイユはすぐに踵を返して行ってしまった。
「やっぱり・・・偶然じゃなかったんだ・・・・。」 取り残された小さな階段の下で、レオンはそう呟いた。
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2007/11/04(Sun) 11:37:44 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ そこそこ来る人(59回)- [ID:as1f11ce]
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Res12 引用 |
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とにかく、一度わかれてしまったが、またあの溜まり場にいけば彼女に会えるわけだし、とにかく警察かなんかに行けば本当に彼女が本当にミレイユなのかがわかるだろう・・・ということで、レオンは町の警察署にいった。 (あれだけ前科がありそうなんだから、もちろん捕まったことくらいあるはず!!!) と思っていたのだが、まったくなかった。そしてあの野菜売り場のおじさんの言葉をおもいだす。 『天才スリ』 「あぁうぅ・・〜。」 とわけのわからん声でうなっていると、こちらに気付く様子もなくミレイユが入って来た。 とっさに隠れるレオン。 (なんで、こんなところに・・・?) 気にならないわけがない。
レオンの尾行大作戦2がはじまった。
ミレイユはエレベーターに乗るとどうやら5階で下りたようだった。すぐにとなりのエレベーターに乗って5階に向かったレオン。ちょうどエレベーターから降りると、一足先についたミレイユはまっすぐな廊下を歩いているところで、ちょうど突き当たりの部屋に入っていった。 上から順にスペイン語、中国語、英語、の順番で「所長室」と書いてある。 レオンがわかったのは下のふたつ。 今まで紹介していなかったが、シンランやゆきめ、ルイズと話しているときの大半は中国語である。なにせ、世界の中心が中国だから、常識的に考えてわかるだろう。 「こんな時のためにルイズさんに渡された増幅器―!!じゃじゃーん。これで扉の中の声までばっちり☆盗聴さ。」 さっそく小型増幅器をとりつける。 はっきりいって、スペイン語で会話されていたら終りだが。運のいい事に中国語で会話をしていた。 (二人ともスペイン人なのに・・・どうしてだ・・・?) と、一瞬ひっかかったが、その理由はすぐにわかった。 『ミレイユ、また派手に観光客を狙ってスリをしているそうじゃないか。』 『ふん。ほっといてよ。』 『こうしてお前が捕まらずに何度もスリをしているのが誰のおかげかわかっているのか?』 『あの子たちさえ人質にとられてなければあんたなんてっ!!』 『私がいつあんなクズどもを人質にとったのかな?』 『くっ・・・。あの子達を保健所で皆殺しにするっていったのは誰よ!?』 『お前もバカな女だな。あんなクズのために自分の体を私に売ってまで。』 『黙ってよ!!』 ドサッ、『きゃっ!』 『さぁ、取引の対価だ。』 『あっ、あんっ、やめてっ!!・・・くんっ・・ぁ・・・。』
レオンはそこまでで増幅器をはずした。 「そんな・・・。そんな・・・・。」 ミレイユがスリをするわけ。捕まらないわけ。帰ってこれなかったわけ。
すべてはあの子たちの笑顔を守るためだった。
三時間もして、ミレイユが出て来た。 体育座りで扉の前にうつむいているレオン。 「あんたっ。こんなとこで何してんのよ!?」 ぐすっ、と鼻をすすりながら顔をあげた。
涙。
「ちょっ、何泣いてんのよ!?ほらっ、行くわよ!!!」 「ごめんなさぃっ・・・・。」 そう小さく言ったレオンに
「なんであんたが泣くのよ。」 誰にも聞こえない声で言った。
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2007/11/04(Sun) 12:45:20 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ かなり来る人(60回)- [ID:as1f11ce]
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Res13 引用 |
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「ほら。コレ飲んで元気付けなさいよ。」 ミレイユはぽいっと缶ジュースを投げた。 「・・・。ありがとうございます・・・。」 「レオンとかいったっけ?なんなのよ、人の後つけてきて。」 「すみません、あそこでたまたま見つけたものだったから・・・。でも、やっと探し人は見つかったんです。」 「ふぅん。よかったじゃない。」 つまらなそうにミレイユはいった。 「あなたです。ミレイユ・フォッセーさん。中国警察、特務1課より参りました。レオン・フェンリートです。」 手帳を開きレオンは言った。 「ふぅん。ってええええええええ!!??あんたみたいのが特務1課あああ!?」 「はぃ。はぐれてしまいましたがシンランさんとゆきめさんもどこかにいます。」 「そういうことだったのね・・・。納得。でも帰れないわね。当分は。あんたは聞いてたんでしょ?・・・。そういう、こ・と。」 「どうしてそこまでするんですか!!自分を犠牲にまでして!!こんなの悲しいだけですよ・・・!!」 「・・・・・。」
少し黙ってから口をひらいたミレイユはいきなり自分の生い立ちを話し始めた。 「・・・そうね、私の母親も腕のいい泥棒だったのよ。泥棒をして生計をたててたの。父親は知らないわ。小さな家だったけど幸せだった。二人で暮らして。私も幼い頃からスリの技術を徹底して教え込まれたわ。・・・お母さんが稼いで来てくれたおかげで私は学校にも行かせてもらってた。私もお母さんもつかまったことなんてなかったし、物を取ることが悪い事なんて私、知らなかったの。でもね、いつだったかクラスメイトにお前の母親は泥棒だ!っていじめられたわ。そのとき初めて知った。自分たちがしてきたことが悪かったって。まるで自分のすべてを否定されたようで怖かったわ・・・。そしてその次の日お母さんは初めて現行犯で捕まった。私がいじめられた原因が自分にあることで思いつめてたのかもしれない・・・。それで常習犯ってことがわかって、面会をした次の日、・・・・・・公開処刑にされたわ・・・・・・・。」 「そんな・・・・っ!」 「面会をしたときに私は母から一枚の紙を受け取ったの。父親の所在と、特務1課の存在。私もいつ罪がばれるのか怖くて、すぐに逃げるように中国に飛んだわ。そこでランファに会った。あの男はすぐに私を特務1課に入れてくれた。それで私はあの男のために忠誠を誓って今にいたっているの。・・・。でもね、私みたいみたいにこんな恵まれた境遇にあえる子なんてあのストリートチルドレンたちの中にはいないのよ。私には母親がいて、こうやって今だってちゃんと職について生きてる。でもあの子たちには一番よりそいたい時期に最初から母親に捨てられているのよ?毎日飢えと闘って・・私を待ってる。おいていけるわけがないじゃない。」 「・・・・・・・。」 黙るしかなかった。答えるにはあまりにも自分が薄っぺらい人間で。 ガサッ。 !!! 「つぶすしかねぇな。」 「つぶすしかないのであります。」 レオンとミレイユが座っている公園のベンチのうしろの茂みからでてきた。 「あっ!?あんた達!!どこからはえてくるのよ!?」 「ひさしぶりだなミレイユ。」 「お久しぶりであります。ミレイユ殿。」 シンランとゆきめがそれぞれ言った。 「聞いてたんですか・・・?」 「もちろん!泣けるじゃねぇか!!!ミレイユ!!!よっしゃ、俺らも参加するぜぃ!!」「参加って何によ・・・・。」
「なんかややこしくなってきましたよ・・・」 「この二人が加わればいつものことよ。」
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2007/11/04(Sun) 13:36:16 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ かなり来る人(64回)- [ID:as1f11ce]
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Res14 引用 |
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「俺らだってただスリから逃げ回ってたんじゃねーんだぜ。」 「そうであります。ミレイユを脅しているその男の正体をあばきまくってきたのであります。」 突然切り出した彼らに制止をいれたのはミレイユだった。 「ちょっ、なんでそんなことまで知ってんのよ!?」 「だいたいのことは本当はルイズから聞いてきたんだ。」 「あの男・・・くっ、どこまで耳が大きいのよ・・・。」 「落ち着くのであります。ミレイユ。とにかく我々が現地で調べてきた情報とルイズから調べてきた情報をあわせるとこういう結論にいたるのであります。」 「あの男、麻薬の密売にも一枚かんでるぜ?」 「なんですって・・?」 「それなら逮捕できますよ!そうすればミレイユさんも帰ってこれるじゃないですか!」 「そうであります。ルイズも早く帰ってきてほしいんだと思うのであります。」 「・・・。わかった。これ以上あの子達を私に依存させるのは可愛そうだわ。ルイズのためじゃないのよ?」 ふっ、と笑ってシンランが立ち上がった。 「これで決まりだな!」 「策戦は・・・」
策戦は麻薬密売グループを現行犯逮捕してミレイユにつけこんで脅している所長、アガーテも共犯だと自供させるという単純明快なものだった。
(((((なんで僕がおとりぃ〜・・・・!!!?(泣))))) 夜の誰もいない商店街の中を一人で歩かされている。 (((((僕が死んだら特務1課は大きな打撃ですよ!?全部僕の脳にしか記録されてないものがいっぱいあるんですよ!!!?))))) そこへ案の定密売グループの男がやってくる。 「よう、坊主。うまいもんがあるんだが食ってかないか?」 「けっ、結構です。」 レオンが断ると男は袖口から何かを取り出した。 「!?」 「そうかい!!!」 小さな注射器、思いっきりさされそうになったが間一髪のところでレオンはよける。そしてエア・ガン(麻酔銃にしたもの)を撃つ。 「くっ!」 といって転げ落ちた男は顔をゆがめてレオンを見た。 「おめぇ何者だ?」 「警察だ。」 そう言ったのはシンランだった。すぐに駆けつけて来てくれたのだが今回はレオンの大活躍で出番はなかった。 すらりっ、と何処からともなくゆきめは日本刀を取り出す。 「殺されたくなかったら吐くのであります。他のメンバーはどこでありますか?」 「言ったら少しは刑を軽くしてあげるゎよん?さぁ。」 ブロンドの髪を夜空に揺らしてミレイユは笑った。 「本当に指の一本ずつ落としていくのでありますよ?」 「ひっ・・!!」 犯人はあっさりと仲間の居場所を売り、警察署まで連行された。そしてその間にアガーテと協力関係にあったことも言ったのだった。 レオンとシンラン、ゆきめは犯人グループのリーダーを連れて所長室へ向かう。
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2007/11/10(Sat) 12:36:34 [ 編集| 削除]
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□投稿者/ あゆむ かなり来る人(65回)- [ID:as1f11ce]
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Res15 引用 |
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「くそっ!!なぜだ!!なぜばれたんだ!?それに早くアレも処分しなければ・・!!」 「アレっていうのはコレのことかしらん?」 慌てふためくアガーテの後ろに、机に腰をかけて白い粉のはいった袋を揺らしている妖艶な女性がいた。 「貴様・・・・!!!どうやってこの部屋に・・・!?」 「知ってた?私の本業はスリじゃなくて泥棒。奇術師、つまりトリック・スターなのよん?」 「うわあああああああ!!!!!!」 花瓶を投げてきたが錯乱した状態では狙いなど定まるわけもなく、ミレイユは動じる事なく座っていたままであった。 「本当に、私がバカだったわ。」 ガチャリと音を立ててはいって来たのはレオン達三人だった。 四人揃ったところで言う 「中国警察、特務1課(です・だ・であります・よん)。(貴方を・お前を・貴様を・あんたを)逮捕(します・するぜ・するのであります・するわ)。」
揃っていなかった。
アガーテはすぐに警察につかまり、本人も麻薬の常習犯であったことが明かされた。 事件はあっけない幕引きだった。
ミレイユは別れを告げるためにあの場所に向かっていた。 だまってレオン達三人もついていく。 「ミレイユ!!」 「ミレイユおかえり!!!」 「今日は皆にお話があって来たの。」 「・・・。」 最年長の女の子だけが少し悟ったように口をつむいだ。 「私はもぅ仕事で中国に行かなくちゃならなくなったの。だからね・・」 「会えないの?」 「もぅ会えないの?」 「ミレイユお姉ちゃん帰ってこないの?」 最後まで言い終わるうちに小さな女の子は泣き出してしまった。
「会えなくねぇ!ミレイユならまたたまに帰ってくるさ。」
「シンラン・・・。」 シンランが突然言った。ミレイユは振り返ってびっくりしていたが、 「そうね・・・。また帰ってくるから。」 「約束だよ!」 「約束して!」 「いいわ。しばらく帰って来れなくなるから、今日はめいいっぱい皆で遊ぶわよん!!」 無防備な笑顔。それが彼女の魅力だった。
子供たちを寝かしつけたあと、シンランとミレイユは二人で公園に来ていた。 「さすがにあそこじゃタバコはすえないわね。」 「しっかりお母さんみたいなこと言ってらぁ。」 「ふん。花嫁修業も兼ねてたつもりだもの。」 「お前の実力ならあんなおっさんに従わなくても、スリじゃなくてもっと大胆に泥棒でもなんでもやってできただろ?そうしなかったのはなんでだ?」 「言ってんでしょ。あの子らを保健所に引き渡されたくなかったの。」 「本当はお前の母さんもお前と同じように体を売って、スリしてたのかもな。」 「ふっ・・・お母さんと同じだったの、無意識的に覚えていたのかもね・・・。どっちだっていいけど。」 「そうだな。」 二人は黙っていた。 「あの子、レオンとかいったっけ?いい子ね。いくつ?」 「さぁ、15,6だったかな。いい奴だぜい。」 近付いてきた人影。 「すみません。お邪魔でしたか・・?」 近付いてきた人影はストリートチルドレンの中で最年長の女の子だった。 「クロサ―ヌ!」 「いいや。俺は先に戻るぜ?ミレイユ。」 「ありがと。」 目配せをして、シンランは夜の闇に溶け込んでいった。 「本当に行ってしまうんですか?」 クロサ―ヌと呼ばれた少女は震える声でそう言った。 「ごめんね。クロサ―ヌ・・・。」 「気をつけて行ってください・・・。また帰って来て。ミレイユ・・・。」 「えぇ、もちろんよ。」 二人は抱きしめあった。
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2007/11/10(Sat) 12:38:40 [ 編集| 削除]
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